解散日記29

 

 10月22日

 

 
「ペヨトル・メモリアルブック――ペヨトル興亡史」(仮題)冬弓舎を出版してくれる、内浦さんと話しをしたが、若い人なのでびっくりした。30歳。ちょうどペヨトル工房が元気だった80年代から90年代の体験がない。それでもペヨトル工房に興味をもってくれるのか……。そして本を出版してくれるのか。

冬弓舎は、本を一冊だけ出版したできたてほやほやの会社だ。会社といっても自宅を出版社にしている。他で仕事をしながら出版にかけている。部屋の片隅には返品の箱を積んであった。もうはじまっているんだな。

冬弓舎は取次に口座をもっていない。地方小が窓口だ。代表の内浦さんは、電算写植の版下の技術があるので、自分で版下を作る。きっとコストもぎりぎりまで押さえているだろう。大変なことだ。

でも、大変は大変だが、そうやって独りで出版社がはじめられて、配本もできる。ちょっと時代も変わったなと思う。

「本とコンピュータ」で対話したときも思った。吉田さんのフリースタイルも地方小とHPを窓口に出版社を運営しているのだが、さほど不思議なことでも、根本的に辛そうでもなかった。出版社の新しい形態が生まれはじめているのかも知れない。

メモリアルブックで、自分がこの20年の間にやってきた、ゲリラ的経営のこと、本作りのことをすべて顕にしながら、次の流通やゲリラのやり方のヒントが生まれると嬉しい。ボクはリーガルにやるつもりだが、リーガルの中で精一杯のゲリラをしたいと思っている。これからも。ボクにとってそれがメディアをやるということに等しいからだ。



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