解散日記32

 

 11月13日

 

ええっ? シリアスは全然駄目なの?
そう、全然。
どこまでをシリアスというの? いけそうでいけないシリアスは何?
ヤン・ファーブル。
たらちゃんは、平然と答える。ボクは呆然として呟く。ヤン・ファーブルがシリアスなのか……。日本の観客はエンターテイメントの舞台しか受け入れられないからね、今は。
H.R.カオスの打ち上げで、カンバセーションという制作会社のたらちゃんは、シリアスな舞台の成立しない日本の特殊状態をいろいろ話してくれた。
そうそうペヨトル工房解散したんだって、新聞で読んだよ。
うん。そうなんだ4月にね。シリアスが駄目っていうことは、ペヨトル工房の出版にも影響あったんだろうね。
分かっていたことだけれど、何かショックだった。観客の意識のあり方をせめるつもりはない。これが日本なのだから。でもずいぶん変わってしまったな。ヤン・ファーブルの「劇的狂気の力」をパルコ劇場で上演した時のあの熱狂はなんだったのだろう。
世の中には受け止めなければいけないことがたくさんあるが、受け止めたくないこともたくさんある。



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