解散日記45

 

 2月9日

      

  結局のところフェアで汚して売れなくしてしまった本の買い取りはしてもらえなかった。今後も取引をするということで、よろしく。ということでペヨトル工房は泣き寝入りと。これからは、見本を入れるなり、汚れ本は相互で負担するなりを最初に決めておかないと駄目だろう。

 それにしても、新刊本委託販売の問題は大きいぞ。売上げ効率が悪くなってきたら、出版社、取次、書店と流れて、さらに返品で書店、取次、倉庫と返ってくる中で、やれ本が山のように発生することになる。取次には分戻しという返品用の送料とされるものをとられていながら、ぼろぼろにされて帰ってくることになるし、3000部刷って、1000部売って、1000部ヤレちゃうなんてことは、これからざらに起こるだろう。綺麗な本を委託で持っていったあげく、汚して返してくるというのはねぇ。書店に文句言ってもお客さんが汚しちゃうんですよと必ず答える。お客さんの管理も書店の仕事でしょう。この流れの中では出版社はめちゃくちゃリスクが大きい。

 ふと、思ったんだけど。これからは、今、ペヨトル工房が助けてもらっている書店、古本屋さんのあり方が、出版社にとっての一つの理想になるのではないかということだ。特にあべの古書店さんが未来のモデルなる。だって新刊本屋さんは委託で綺麗な本を持っていって、ヤレを起こしたら返してくる。アベノさんは、委託したペヨトルの本を店頭で汚れたからといって返してこないでしょう。少々汚れた本を綺麗にして売ることはしてもね。

 これからは、古本屋さんの方が書籍の流通の中で生き残っていくかもしれないし、もしボクがもう一度、本を作るのだとしたら再販制度から自由になって、古書屋さんや直売ルートを中心に本を販売していきたいとも思う。現実に可能かどうかは別として。そういう思いがある。一律、同じ掛け率で卸して、新刊書店での割引もOKだし、その同じ卸し率で古本屋さんが定価よりも高く売るのも自由ということだ。それは店舗の裁量でやってもらう。で、ペヨトル工房はHPで定価販売する。これで数が捌ければいいんだけれど、問題はそのあたりだろうな。



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