解散日記52

 4月10日

 

 夜想とほぼ同時期に創刊した「幻想文学」の東さんと久しぶりに話しをした。会ったのもほんとに久しぶりだし、ましてや話すとなると……。何十年ぶりだろうか。「夜想」がジャンルもトーンも問わず特集してきたのに比べ、文学の幻想に絞って特集を組んでいる「幻想文学」の精緻な態度が、今も続いている理由なのだろうか。不思議なことに「夜想」と「幻想文学」は、近くに存在していて決して領域が重ならないし、ましてや対峙もしていない。人形を取り上げても視点がきちんと異なっている。見えない境界域があってそこを守っていたような気配がするが、たぶんボクも東さんもそんなことは意識していなかったろう。結果そうなっただけのことだ。

 話していて分かったんだけど、ペヨトル工房の本をネット書店のbk-1が扱ってくれることになって、そのコンテンツをなんと東さんが書くのだと……。嬉しい。そしてもの凄く楽しみだ。ネット書店の楽しみと勝負はおそらくコンテンツだろうから、ペヨトル工房最強のネット書店になるかもしれない。

 この20年、インディの紙メディアで、幻想を特集していた二人が、ネット関連で再会するのもまさに時代を象徴している。東さんは明るい顔をしていた。未来を感じるなあ。



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