ソニー神話の崩壊

夜想日記9/2003/5/02

 

ウォークマンはアイワが良いんだけど、でもソニーを買っちゃうんだよね。早く壊れるの分かっているのについね……。
スペックにうるさい音響のミカミがそう言うんだから、ぼくがソニーを買い続けるのもしかたがないだろう。ビデオもソニーだし、デジカメもソニー、メモリー・スティックも愛用している。別にブランドにこだわっているわけではないが、何となく買ってしまう。
それはおそらくデザイン力なのだ。アイワとソニーの差は、技術ではなくデザインの差で、消費者はデザインを選ぶのだ。
スペックを優先して買うとき、ソニーは最後の二者選択で落ちることが多い。音響のミカミは、スペックで買うならCDウォークマンはAIWAのEASSにしろと薦めた。すぐに発売中止になったが、確かに音は良い。

mini-DVとVHSの両方が使えるデッキも、ソニーのを買おうとしたら店の人に、そっちがOEMと言われた。何でOEMで供給されているほうが高いんだ。それでビクターのにした。VHSの録画クオリティが一つ上らしい。それでもソニーより安い。考えずに手を出すとソニーということになる。誰かにスペックを教わるとソニーじゃなくなる。

最近、USBのフラッシュメモリーが欲しくなって、ソニーのポケットビットを買いそうになったが、ネットで調べてみようと上がったらどうもメルコのフラッシュメモリーの方が良さそうだ。
ついにぼくも自分の力でスペックを調べるようになった。うん、これも時代なんだろうが、こうして徐々にソニーの神話は崩れていくのだろうなと思っていたら、ソニーの株価が連続2日続けてストップ安になり、日本に激震が走った。結果、ここ数ヶ月でソニーの株価は半減したことになる。数年にわたって落ち続けた後だけにかなり酷い。

社長は自社株買いはしないと明言した。気持ちは分かる。今の株価は会社の関係ないもの。業績が良くても落ちていく。任天堂だって業績は良いのにここ1年で株価半分だ。
ソニーもただの家電メーカーの一つと考えたほうが良いですねと、株のアナリストが言い捨てる。ソニーの株はアメリカでも売買されていて(ADR)そこで圧倒的に売られることによって現在の株安になった。
アメリカの株式市場がソニーに神話なしと判断したのだ。クリエのデザインが悪かったり、バイオがどこかPowerBookに似ていたりと、確かに神話崩壊のトリガーは準備されていたような気もするが、アメリカによって、しかも株によってソニーの神話が壊れるとは思わなかった。

時代は厳しく変化していく。サムスンに時価総額で抜かれたソニーは神話をはがされた後、どう製品を作りだしていくのだろうか。神話がなくなった後も、バイオは売れ続けるのだろうか。もともとサムスンの技術、資金力は、日本のハイテクメーカーを凌駕している。アメリカ主導での変化は気持ちの悪いものだが、韓国のメーカーの力や製品を見ようとしないというローカリティもかなり問題だ。
トランジスターからウォークマンまだ世界にその名を刻み続けてきた作り続けたソニー、F-1に旋風を巻き起こしたホンダ、戦後のエースそして不況の日本を支えてきた企業の神話が崩壊しつつある。

ところでミカミ、ヘッドフォンを変えようと思うんだけど、ソニーがいいかな。それともオーディオ・テクニカ?
まだそんなこと言ってるんですか。メーカーで選ぶのはもうよしにしなさいよ。使い道に応じてそれぞれのスペックを見て決めれば良いんですよ。最近はiーpodなんでしょう、外で聞いているのは。

 

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