配本力

夜想日記11/2003/6/12

 

オフサイトからもどってきた在庫を三月書房さんに送ったが、1週間で50冊近くも売ってくれた。三月書房さんは、こまめにネットで情報を配信している。それと地べたの個性的あ魅力が巧くマッチしているのだ。もちろん宍戸さんのキャラのなせる技も大きい。ネットでも書店の個性はでる。

宍戸さんに復刊夜想はどうやって配本するの? 誰かに口座を借りるの? 地方小から配本するの? とメールで質問された。配本についてはかなり迷っているところでもあり、困っているところでもある。少したくさん売るなら取次は必要、配本が必要というのは、常識中の常識だからだ。しかし今のところ、すべて直売という可能性が高い。

三月書房さんやタコシェさんのペヨトル在庫の動きを鑑みると、結局、誰が、売るか、に尽きるような気がする。今の書店の崩壊は、おそらく凄腕書店員さんが棚を任されなくなったということが原因だろう。「2ー」をたくさん売ってくれている新規大型店舗の書店員さんは、元リブロ渋谷店からの転身で、本に愛情もあるし知識もある。

もう一つの関西系大型書店も、リブロ池袋店の店員さんが移っていて、夜想復刊にいち早く反応してくれている。店員さんがケアしてくれれば売れるけれど、そうでなければ売れないのだ。誰が売るかということが最大のポイントだ。特に夜想のようなクラスマガジンでは、店員さんの力がかなり運命を左右する。配本は配本すればよいのではなく、読者とつないでくれるところに置かないと駄目だ。

東京で一人、京都ではペヨトル・ファイナルのイベントスタッフの何人か、名古屋でも同じくペヨトル・コーリングのボランティア・スタッフだった人が復刊夜想の販売ルート確保に動いてくれている。まだフライヤーも何もないところで動いてくれているのだが、それでも何件か新しいお店に置いてもらえそうだ。

非常に簡単なやり方で、自分がここに夜想が置いてあればいいなぁと思うお店や自分が顔見知りになっている書店員さんが居るところに営業してもらっている。夜想が好きな人が、好んで行くような店に置けば、そこが服屋さんでも、カフェでも、居酒屋でもそこに夜想好きな人が来て買っていってくれる可能性がある。

メルマガでもお願いしたので、夜想を置いたら良いお店の情報をメールでいただくようになった。もう一歩進んで、お店に声をかけてもられると大変嬉しい。夜想を応援してくれる人の、好きネットができたら、それでどうにかやっていけるのではないか。そんな夢みたいなことを考えている。

夜想は5700近くの注文配本力を最後まで維持していた。それでも本が返ってくるようになった。バックナンバーが売れない。それでペヨトルを閉めることになったのだ。取次配本という同じことをやっても結果は変わらないだろう。書店に限らず夜想を売ってもらえる人のいるところに本を置いていきたい。それは店舗を構えていない人でもOKだ。私がともだち10人に売ってあげるよ。それは凄いことだ。そうしてくれたらその人に卸価格で夜想を10冊送りたい。

在庫場所もないので3000冊しか作れない。業界ではそれでも大変だろうと言われている。時代が変わった。そして次々と雑誌が消えていくなかでの復刊だ。新しい夜想が受け入れてもらえるかどうか、それは分からない。しかしいったんは夜想の好きそうな人に見てもらいたいと思っている。

ここまで書いたらまた三月書房の宍戸さんからメール。解散からこの3年でペヨトルの本が2368冊売れたとのこと。売れたんじゃなくて売ってくれたんだけれど……。今やペヨトルによって大型書店になった三月書房だけれども、はじまりは解散の時のサポートから。

これからの配本力は、本が、どれだけ人のネットワークの上に乗っているかにかかっている。本を売ってくれる人、売ってくれる人に紹介してくれる人、そしてもちろん夜想を気にかけてくれる人。そうした人の網の目の上に新しい夜想が存在できたら嬉しい。

 

 

 

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