abe"M"ARIA(ダンサー)

路上パフォーマンスを身上とするabe"M"ARIAのダンスは、激しく強く、そして切ない。身をフロアに打ち付け、鉄柵に骨を軋ませる、自虐的とまで言える身体のパワーの行き所は、見るものに果てしなさを感じさせる。いつまでこの激しくアナーキーな身体は疾走していくのだろうかと。が、その絶望を抱いたような激しさは、究極のロマンティシズム、哀しみにも通じる。重低音の、そして分節音のノイズが、、時に柔らな癒しのうねりを持っているように、abe"M"ARIAは、観客の心に身体音を響かせる。

 

 

浅野つかさ(ダンサー)

浅野つかさは、しなやかで強靱な身体の中にいくつもの貌を見せる。壊れやすくはかなげな貌。クールで速い動きの中に見せる乾いたエロティシズム。どこまでも強靱にしなる四肢が、アンビバレントな身体の特質を際だたせる。今回は、今野裕一演出による即興ロマンティシズムの作品を踊る。

 

 

笠井叡(舞踏家)

笠井叡もまた即興のダンサーです。笠井叡の踊りのためにペヨトル工房は生まれてしまったというところもあります。すべての果てまで一気に駆け上がろうとする踊りは、アナーキズムであり、それをまだ現在も続けているという驚異を、改めて西部講堂で見て欲しいと思います。

 

 

蔡國強(現代美術作家)

ペヨトル工房は、蔡國強さんの「万里の長城を1万メートル延長するプロジェクト」のドキュメント本を制作しました。費用が不足したので、蔡國強さんにも協力してもらって、100冊の本に火薬でドローイングしていただき、それを特装本として売ることで、費用の足しにすることにしました。当初、20冊の本に火薬で絵が描かれましたが、残り80冊のドローイングが今回なされます。「memory」ニューヨークあるいは事前の西部講堂で制作を行ない、その記録が当日放映されます。この作品が会場に展示され即売されます。

 

 

田中泯(舞踏家)

田中泯と出会ったのは、まだ学生の頃、田中泯が舞態と称してほぼ全裸で街やギャラリーに転がるようにして踊りという行為をしていた頃です。田中泯は即興を行うとき何事も決めずに立ちます。これは素敵なことであり、大変なことでもあります。即興演奏者の力をめいっぱい引き出しながら、それを受け止めて踊れる田中泯。今回も素晴らしいデュオを期待したい。12日夜に登場予定。

 

 

丹野賢一(パフォーミングアーティスト)

3000個のコンクリートブロック、4トンのピンクの粉、高さ4メートルの鏡の壁というようなおおがかりな装置に対して、キャラクターに扮して踊る。あるいは一切の装置を排除して踊る。変幻自在の丹野賢一は、ものや身体に対する新たな即興の可能性をもっている。

 

 

野村誠(作曲家・鍵盤ハモニカ演奏家)

鍵盤ハーモニカ、『路上日記』の野村誠は、ペヨトル工房最期のマルチメディア出版の作家になった。CDブックは、本も演奏もそれぞれ2800円の価値あるものを合体した、とんでもないお値打ちもの。野村誠は今もその本を売ってくれている。その量は大型店舗を遙かに凌駕する。ボクは彼を歩く紀伊國屋と呼んでいる。もちろん紀伊國屋の何十倍も売っている。

野村誠は京大出身、そして京大西部講堂で伝説のグランドピアノパフォーマンスを行ったミュージシャン。今回は、何をしでかしてくれるでしょうか。

 

 

畠山直哉(写真家)

畠山直哉さんに最初に会ったのは、彼が筑波の大学院を出たばかりの頃です。作品を見せてもらいました。すぐその後にヨーゼフ・ボイスのドキュメントビデオの映像ディレクターとして畠山さんは、ボイスの来日すべてに立ち会いましたが、そのプロジェクトにペヨトル工房も参加して、結果、『ヨーゼフ・ボイス・イン・ジャパン』というドキュメントビデオブックがペヨトル工房から出ることになりました。

そして畠山さんは、『夜想』や『WAVE』や『ur』の複写の仕事までやっていただき、さらに三上晴子、内藤礼、北斗晶をはじめとするアーチストや作品写真も撮り起こしてくれました。かんらん舎の大谷コレクションの鉱物写真で『Lazur―透きとおる石』という写真集もペヨトル工房から出版しました。

イベントにも数多く参加してくれました。そして今回は「箱男」になって(!)西部講堂に登場します。

 

 

藤本由紀夫(現代美術作家)

最初に作品にあったのは、ペヨトル工房ディレクションの『151年目の写真』という展覧会でした。森村泰昌さんとのコラボレーションで作品を展示してくれました。以来、雑誌やイベントによく、登場していただきました。アップリンクでのイベントでは、パフォーマンスと対談で活躍してくれました。今回は、何を見せてくれるか。まだ秘密です。

 

 

森村泰昌(現代美術作家)

佐賀町エキジビットスペースで、森村泰昌さんが展覧会をしていた時に、インタビュアーとして指名されたのが会った最初かもしれない。そして雑誌にはインタビュー、作品紹介と様々に登場を願った作家で、今回は久々の登場ということになります。最近は、音楽家になっているという森村さんが得意のコラボレーションで何を見せてくれるか。楽しみな瞬間です。