解散日記1

 5月15日

これまで約20年間どうにかこうにか続いてきたペヨトル工房を、4月30日に解散した。それからそろそろ3週間がたとうとしている。取次との交渉もどうにかメドが立ちそうになってきた。少し話してもいいかなという時期になった。

ペヨトル工房は、鈴木書店と東販を中心にして書店に配本していた。日販は、いろいろあって口座を開いてもらえなかったので鈴木書店経由で入っていた。あとは栗田と、大洋社、大坂屋、倒産した柳原書店。解散を宣言して、すぐに鈴木書店と東販にまず呼ばれて、でかけて行ったのだが、鈴木書店は、残念だねぇと本気で残念がられて、最終生産までの間、どうにか店売のものを売ってあげるよとまで言われて、胸がぐっとしてしまった。

ペヨトル工房は、鈴木書店にも可愛がってもらったが、それは、鈴木書店が生協や人文関係の強い書店を中心の取次だったからだ。日販とはうまくいかなかったが、もうひとつの大きな取次、東販にも好意的にしてもらった。それは、ここ10年ぐらいのことで、窓口の担当の植村さんという人が、ペヨトル工房の本をきちんと見てくれて評価してくれていたからだ。本の中身をちゃんとみて、売れる、売れない。あるいは、ここらへんに厚くまいたらとか、親切に考えてくれる。植村さんのちょっとした好意なんだろうが、こちらにとっては、大変な差になってくる。

東販に挨拶に言ったら、植村さんしばらく、「どうして止めちゃうかな……」と30分以上にわたって、会社のなくなるのを惜しんでくれた。そういうのってわかるじゃない、おざなりで言っているのか真剣なのかって。ペヨトル工房は、読者に支えられてきた出版社なんだけれども、こうした本を配本する取次の人たち、そして書店員の人たちにも支えられて成立したきたんだと、あらためて痛感する。ありがとう。ほんとうに助けてくれた人、みんなに、そして気にかけてくれた人みんなに言いたいと思います。ほんとうにいままでありがとうございました。

ところで、栗田にも行ってきたんだけど、休眠宣言してから本だしてなかったよね。最終の本はなんだっけ?「やそう」です。と言ったら、「野草」とメモをとっていた。栗田の窓口は前から本を見ずに受け付けていたからなあ。こういう取次ももちろんある。