解散日記15

7月30日

大阪に芸術創造館というところがあって、バックナンバーを購入してくれるかもしれないということで、打ち合わせに出かけた。

梅田から地下鉄で10分ぐらいのところで、ボクは、谷町線「千林大宮」から歩いていった。この芸術創造館の面白いところは、公共施設でありながら(というと失礼だが)、プロの芸術創造のための施設になっていることだ。税金を使って建てられた施設は、必ずすべての市民が使えなければならないという日本の市民感覚が、本当に日本の芸術活動を大きく妨げているのだが、そこに挑戦してプロ対応の組織として運営されている。専門家の創造した芸術を見るということも、市民の創造的芸術活動であると、どうして思えないのだろうかと不思議だが、それは戦後のなんでもかんでも平等主義の民主教育が作り出した伝統だから、早々変わることはないだろうが、とにかく一つでも二つでもこうした施設が運営されて、実績をあげて行って欲しい。

頑張って欲しいなと、思う反面、芸術館が組織的なパワーによって存在しているのではなく、担当者、個人の情熱によって支えられていることに少々の不安を覚える。ペヨトル工房の本を購入するという今回の話も、降ってわいたわけではなく、間に入って、動いてくれた人が何人かいてはじめて動いたことだから。

ペヨトル工房は、解散に関してもいろいろな人、一人ひとりに支えられている。HPのブックショップを改造してくれている人もいるし、購入の輪を広げようとしてくれる人もいるし、倉庫を探してくれている人もいる。逆に言うと、解散ということひとつとっても、個人に支えられないと成立しないのだ。

仕組みの力が大きく後退しているのを実感する。本を売る仕組みも、個人の集積によって支えられていたのだが、今は、仕組みの中でその一人ひとりの個人の情熱や才能が生かされにくくなっているように思う。



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